中国産AI「ディープシーク」が引き起こしたテック市場の動揺と疑惑
- Takashi Kimura
- 1月30日
- 読了時間: 5分
更新日:2月2日

中国産AI「ディープシーク(Deep Seek)」が話題となっています。OpenAIのGPTやo1を超える能力を持つとされ、さらに低コストな学習環境で構築された点が強調される中、多くの市場関係者から「OpenAIは終わった」との声が上がりました。
この影響で、半導体を中心とするテクノロジー関連株が急落しています。特に現在のAIに必須な半導体開発企業のエヌビディアは、僅か1日で93兆円が吹き飛び世界的に大きく報道されました。
個人的には様々な疑念を抱く状況でしたが、報道が出てきましたので記事にいたしました。
DeepSeekがデータ不正利用か OpenAIとMicrosoft調査
ディープシークの実力と政治的バイアス
私もこのディープシークを公開直後に試しました。その際、新たな疾患が中国で広がっているという噂や、米国などによる半導体輸出規制をすり抜けてディープシークがどのように開発されたのか、さらには実際のデータがOpenAIのものでないかといった疑問をぶつけました。
結果として、ディープシークは驚くほど高速で、リミットを外したかのような高密度のフィードバックを提供する一方で、中国政府を支持する返答が定型的に返ってくるという特徴が見られました。
以下は私が行ったディープシークとのやり取りの一部ですが、あらゆる意見に対して政府擁護のフィードバックが付随していました。

さらに、他のユーザーの報告によると、中国政府に対する批判的な内容の「壁打ち(対話)」を行った後、ディープシークへのログインができなくなったケースもあったとのことです。まるでディストピアSF映画に登場するようなAIの姿が、現実となりつつある印象を受けました。
テック市場を揺るがせたGPU問題の不信感
ディープシークがこれほどの騒動を引き起こした理由の一つに、「型落ちのGPU(半導体)を活用して開発された」という話があります。しかし、このブログでも過去に述べたように、GPUの能力向上は加速的に進んでいるものの、わずかな数の型落ち半導体(投資額から換算)でGPT(o1含む)を超えるAIを開発することは、物理的に不可能と言わざるを得ません。

さらに、ディープシークの開発の中核を担ったのは北京大学卒業の女性エンジニアであるという情報が出ていますが、その実績を裏付ける論文や技術的なスコアは一切提示されていません。
(論文は確認できました、一部で伝えられているLuo Fuliでは無く、Fuli Luoでヒットしました)
要するに、ディープシークが本当に評価に値する技術を有しているかどうかを示す客観的な証拠は一切なく、GPTのデータを再利用している可能性が極めて高いと言えます。
「テクノロジー神話」と投資詐欺の危険性
テクノロジー関連の投資市場では、存在しない技術を「あるかのように」見せかけて資金を集める企業が数多く存在します。その結果、政府機関までもが騙されるケースが頻発しています。私自身も、目についたこうした事案に対して関係各所を通じて警告を伝えている状況です。
また、「オールドメディア」と呼ばれる伝統的な報道機関は、スポンサーや政治的背景の影響を受けることで、事実が湾曲するリスクを抱えています。しかし、YouTubeなどのSNSでは、情報拡散のスピードが重視されるあまり、無責任な発言が横行しているのも事実です。今回のテック市場の暴落の背景にも、インフルエンサーによる誤情報の拡散が影響している可能性が高いでしょう。
今後の展望:ディープシークの真実は数日で明らかになる?
現在の時点では、ディープシークの疑惑はまだ確定事項ではありません。しかし、OpenAI側もこうした事態に備え、データにトラップを仕込んでいる可能性が高いため、数日中に真相が判明するのではないかと考えています。
もしディープシークがGPTのデータを無断で流用していたことが明るみに出れば、トランプ大統領は強力な対中制裁カードを手にすることになるでしょう。そのため、中国政府の今後の対応に注目が集まります。
ディープシークが真に技術革新をもたらすAIなのか、それとも市場を揺るがす一時的な「テクノロジーバブル」なのか、慎重な検証が求められる局面に入っています。
YouTubeのようなプラットフォームでは、嘘や誤情報であっても話題を作り、市場に影響を与えることができ、それでも配信者はプラットフォーム側から収益を得られます。この現状を考えると、メディアとしての責任を果たす仕組みを取り入れたサービスデザインが求められるばかりです。
この騒動によって事実が明らかになれば、多くの日本国民が中国のリスクを認識し、日本の安全保障においてスパイ規制や身分調査の重要性を理解する契機となるでしょう。また、一部の政党や議員がこうした規制強化に反対している問題についても、国民がより深く考えるきっかけになればと思います。
追記:X(Twitter)の投稿に以下の様な事例があったそうです。ディープシークがOpenAIのレギュレーションを表示した様です。https://x.com/super_bonochin/status/1884627507997270488?s=46
これにより、ディープシークはGPT(o2含む)の出力を利用した蒸留モデルである事は確定的で、OpenAIの利用規約に反して作成されたAIということになり、米中の貿易摩擦にも影響を与えそうです。
既に中国への半導体供給を制限している米国ですが、更に強化されることになりそうです。
以下はディープシークが使用したGPUの現行の能力差の比較です。
NVIDIAのH800 GPUは、主に中国市場向けに設計された高性能GPUであり、最新の最先端GPUと比較すると、いくつかの性能差があります。具体的には、H800の帯域幅は約600 GB/sで、これはH100の900 GB/sと比較して約33%低くなっています。 この帯域幅の制限により、同じAIタスクを実行する際、H800はH100よりも10%から30%多くの時間を要する可能性があります。
さらに、最新の最先端GPUであるH200と比較すると、H800の性能はさらに差が広がります。H200は、H100と比較してメモリ容量が約2倍、帯域幅が約1.4倍に向上しており、生成AIや大規模言語モデル(LLM)の処理において大幅な性能向上を実現しています。 したがって、H800はH200と比較して、メモリ容量と帯域幅の両面で劣っており、特に高度なAIやHPC(高性能計算)ワークロードにおいて性能差が顕著になると考えられます。
要約すると、H800は高性能なGPUであるものの、最新のH100やH200と比較すると、帯域幅やメモリ容量の制限により、特に高度なAIタスクやHPCワークロードにおいて性能差が存在します。
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